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デジタル展望08(下)次世代通信技術――ブロードバンド屋外へ。2008/01/07, 日経産業新聞, 3ページ, 有, 2181文字
「無線」「携帯」実用化へ前哨戦
年内にも対応PC登場
次世代の通信技術開発が加速してきた。NTTが二〇〇八年春にNGN(次世代ネットワーク)を商用化するほか〇九年以降、パソコン向けの次世代高速無線や携帯電話用の新しい通信技術が続々と実用化段階を迎える。〇八年はこうした新技術に対応した製品開発が一段と進む見通しだ。
昨年十二月、総務省が次世代高速無線用に開放する周波数の割当先に、KDDI陣営とPHSのウィルコムが決まった。これまでオフィスや家庭内でしか使えなかったブロードバンド(高速大容量)サービスが、いつでもどこでも使える時代が目の前に迫っている。
ADSL並み
「新しい社会インフラを築くという気持ちで誠心誠意取り組む」――。KDDIを中心に米インテル、京セラなどが出資するワイヤレスブロードバンド企画(東京・千代田)の田中孝司社長は決意を新たにする。同社が採用する「WiMAX(ワイマックス)」の通信速度は毎秒四十メガ(メガは百万)ビット。ADSL(電話線を使ったデジタル高速通信)と同等の高速データ通信が無線で使えるようになる。
ノートパソコンを外に持ち出しても、高画質の動画や音楽を滑らかに視聴できる。ページ数の多いプレゼンテーション資料を会社とストレスなくやりとりするなど、ビジネス上での使い勝手も高まる。ワイマックスはパソコン向け半導体を押さえる米インテルが推進する規格で、年内に対応ノートパソコンが本格的に出荷される見通しだ。
ウィルコムの「次世代PHS」も同二十メガビットの高速通信が可能で、将来はさらに通信速度を引き上げる計画。ワイマックス、次世代PHSともに〇九年春の試験サービス開始を目指している。
さらにその後は「三・九世代」と呼ばれる携帯電話の次世代技術が控える。NTTドコモが世界的に技術開発をリード。富士通やNECと共同で基地局や端末の開発を進めている。「三・九世代」は毎秒百メガビット以上と、現在の光ファイバー通信と遜色(そんしょく)ない通信速度が実現できる。ドコモは〇九年度中に技術開発を完了し一〇年ごろにサービスを開始したい考え。中村維夫社長は講演で「将来は新聞や雑誌、映画などあらゆるコンテンツが携帯電話でダウンロードできる時代が来る」と強調した。
「iフォン」注目
携帯電話では米アップルの「iフォン」の日本への投入時期も注目を集めそう。現行機種は日本では利用できないが、第三世代携帯電話(3G)方式の機種を今年中に欧州に投入する計画だ。日本ではNTTドコモとソフトバンクモバイルがアップルと交渉中で、交渉がまとまれば欧州に前後して日本でも発売される可能性がある。
一方、無線LAN(構内情報通信網)も、今年から次世代無線LAN規格、「IEEE802.11n」への切り替えが進みそうだ。同規格は現在、国際規格の仕様策定が進んでおり、〇九年夏にも正式決定される見込み。毎秒三百メガ(メガは百万)ビットの高速通信が可能で、毎秒百メガビットの光ファイバー回線の通信速度を家庭やオフィス内でフルに生かせる。すでに米アップルや東芝などが対応製品の出荷を始めているが、普及価格帯のノートパソコンでも採用事例が拡大しそうだ。
機器開発競争、海外勢も参入
基地局などインフラ着々
次世代高速無線やNGN(次世代ネットワーク)の商用化を前に、通信機器各社の開発競争が激しくなっている。安定した高速通信を可能にするには、通信インフラの性能や信頼性がカギを握るからだ。世界標準の通信技術が使われるため、海外メーカーも日本へ攻勢をかけている。
NECと富士通は次世代高速無線と「三・九世代」の携帯電話技術の機器開発を進めている。
NECはワイマックス向けの通信基地局と、パソコンに差し込んで使う送受信用カードを開発した。一〇年に関連ビジネスで年百五十億―三百億円の売上高を見込んでいる。NTTドコモが計画する「三・九世代」向けの携帯電話端末と基地局装置両方の納入企業に選ばれており、ドコモへの納入実績を機に海外市場開拓も狙う。
富士通は台湾当局と組んでワイマックス機器に組み込む半導体の開発合弁会社を今年三月に立ち上げる。「開発する半導体でワイマックス市場の拡大に拍車をかけたい」(富士通の秋草直之会長)。NECに先行して、「三・九世代」用基地局の開発をドコモと昨年夏に開発済み。小型化など実用化に向けた開発をさらに進めている。
NGN関連の機器開発も活発だ。NECや富士通は、一本の光ファイバーで複数のデータを同時に送受信できる多重波長型の光伝送装置を開発。OKI(沖電気工業)は光ファイバーの通信速度を従来比四十倍に高めた装置を関西電力と共同開発、一〇年メドに実用化する計画だ。
ワイマックスやNGNなどは国際標準規格の技術で、海外メーカーも日本市場の開拓を急いでいる。カナダの通信機器世界大手のノーテルネットワークスは東芝と提携、日本向けワイマックス用基地局を開発中。米ジュニパーネットワークスは、消費電力を半減したルーターを昨年末から日本で販売し始めた。国内企業間の勝負だった通信機器市場の構図が崩れ、従来とは異なる競争環境にさらされている。
【図・写真】富士通はNTTドコモと共同で「三・九世代」用基地局を開発済み(中央部分が開発した基地局)
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