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スカパーJSAT、宇宙通信買収、市場は反応薄、関心は「次」、次期中計が正念場に。2008/02/14, 日経産業新聞, 24ページ, 有, 1414文字
経営統合により二〇〇七年四月に発足した共同持ち株会社のスカパーJSATが十三日、三菱グループ系のCS(通信衛星)運営会社、宇宙通信(東京・品川)の買収を発表した。これでCS放送のインフラ事業はスカパーJSAT一社に集約される。だが視聴者の拡大という最重要課題への道筋は見えないまま。スカパーは同日、新規個人契約数の目標を四十九万件に再度下方修正した。
「(株価は)もう少し上がるかと思った」
買収報道を受け、スカパーJSATの住友裕郎取締役は十三日夕方、東京・赤坂の本社でつぶやいた。東証一部上場の同社の株価は同日反発し、前日終値比二・八%高い三万三千百円で引けたものの、六万円台で推移していた昨年の発足直後の水準には遠く及ばない。
番組の伝送から放送サービスまでを持ち株会社傘下に取り込み、CS放送の一貫体制を整えるスカパーJSATの戦略。宇宙通信の完全買収に約二百八十億円を投じる。それでも市場が統合効果を手放しで評価しないのは、肝心の視聴者数が伸び悩んでいるためだ。
地上波放送が完全にデジタル化される二〇一一年に向け七百五十万人の確保を狙う同社だが、今期末時点でも四百万人に届かず、目標達成のハードルは極めて高い。
総世帯普及率が約二〇%、およそ一千万世帯と言われる多チャンネル放送市場。市場を分け合うジュピターテレコム(JCOM)がケーブルテレビ加入者数を増やすなかで、CS放送の埋没懸念が徐々に強まっている。NTTが今春から始める次世代通信サービスなど新たな放送の伝送路も増えるなかで、市場はCS業界内の再編を完了させたスカパーJSATに対し「次の一手」の催促を強める。
視聴者増へ直接寄与するのはやはりコンテンツ(情報内容)の充実。スカパーJSATは宇宙通信との統合で上積みした資金力を番組強化に投資する方針。「画質のハイビジョン化」を進める。十月には十チャンネルで高品位放送を始め、来秋には最大で五十チャンネルに拡大し、番組の訴求力を高める。
ただ、画質の向上が視聴者拡大の決め手になるとは言い難い。地上波やBS放送ではハイビジョンが先行して普及しているためだ。ほかの放送方式と競争する前提条件を整えた後の強力な普及策が問われている。
同社は〇八年度入りに合わせて、現在の中期計画を見直し、そのなかで新たな普及シナリオを明示したい考え。今後の競争激化を踏まえれば、ハイビジョン番組の視聴に必要な新型受信機を格安で供給するなど、思い切った対策を取ることも選択肢になる。
スカパーJSATが従来以上に意思決定を早めるうえでは、「寄り合い所帯」といわれる株主構成もポイントになりそうだ。地上波テレビ局や電機メーカーが大株主に名を連ねていることが、コンテンツ周辺への大胆な投資を阻みかねないとの指摘もある。同社は「株主との利益相反はないし、(資本構成の変更などは)株主自身が考えること」(住友取締役)と強調する。
正念場となる次期中期計画に実行の裏付けが伴わなければ市場の失望を買うことになる。
(藤原豊秋)
【表】スカパーJSATの主な〓株主構成(07年9月末時点)
株 主 出資比率(%)
資産管理信託伊藤忠退職給付信託口 10.1
ソニー・放送メディア 8.3
フジテレビジョン 8.3
NTTコミュニケーションズ 7.6
日本トラスティ住友商事退職給付信託口 6.4
日本テレビ放送網 6.1
TBS 4.9
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